Valmet LignoBoost XSを用いた Klabin Technology Centerでの先駆的なリグニン抽出

2020年12月12日土曜日

新しい実証規模の LignoBoostプラントは、Klabin社がリグニンの可能性についてさらなる研究を行う上で役立っている。工場で加工されたさまざまな材種の幅広いベースは、将来、南米で針葉樹と広葉樹の両方のリグニン生産者になる絶好の機会を与えてくれる。

Klabin社はブラジル最大の包装紙の生産者および輸出業者であり、工場でさまざまな種類のユーカリや松を加工している。クラフトパルプ化の工程では、さまざまな種類の木材がさまざまな黒液を生成するため、いろいろな種類のリグニンが生成される。これは、Klabin社にとって、将来南米で針葉樹と広葉樹両方のリグニンの生産者になる絶好の機会となる可能性がある。

リグニン抽出に関するバルメットの最新技術は 2019年11月に Telêmaco Borba(PR)のパイロットプラントパークにあるテクノロジーセンターに設置され、これは南米で最初の LignoBoostの設置となった。実証規模のリグニン抽出プラントである LignoBoost XS™は、リグニン事業に参入したいものの、リグニンベース製品のアプリケーションや将来の市場機会をまだ調査している顧客のために開発された。このプラントは、さまざまなリグニン品質や、それらの付加価値製品での使用を研究する可能性を Klabin社に与えている。

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ブラジル Telêmaco Borbaにあるパイロットプラントパークの Klabin社テクノロジーセンターに設置されている Valmet LignoBoost XSTM

リグニンは新しいビジネスを生み出す

木材は主にセルロース、ヘミセルロース、リグニンで構成されている。現在、リグニンは主に工場内で使用する電力や蒸気を生成するために使用されているが、主に化石資源から製造されているさまざまな化学物質、プラスチック、炭素ベースの製品、医薬品の原料になる可能性もある。

Klabin社は、リグニンを新しいビジネス進出に向けた次のステップとして見ている。新しい LignoBoost XSプラントは、さまざまな方法で木材を使用するための戦略的ビジョンを提供する。

「化石燃料や再生不能材料を削減するという世界的な需要が高まっています。リグニンは、さまざまな製品を合成するための基礎薬品として利用できます。これらの機会は過去 20年間にわたって徹底的に研究されてきており、すでにいくつかのセグメントでリグニンが使用されていることがわかりました。工業規模でリグニンを抽出することは Klabin社にとって自然なことだと感じました。結局のところ、ユーカリ、松から、さまざまな蒸解の度合いで製造されたいろいろな種類のリグニンを提供できます。」と Klabin社 産業技術・イノベーション・サステナビリティ・プロジェクト担当取締役 Francisco Razzolini氏は説明する。

「私たちの研究室では黒液からリグニンを抽出していましたが、理想とはかけ離れた環境で操業していました。新しい LignoBoostプラントにより、研究開発をより迅速に進めることができます。」と Klabin社 企業研究開発マネージャー Carlos Augusto Santos氏は説明する。

お客様のニーズに合わせたプラントのカスタマイズ

「私たちにとってバルメットがパートナーであることは自然でした。スウェーデンで最初の Valmet LignoBoostパイロットプラントを訪問したことを覚えています。バルメットはブラジルの私たちの近くにあるため、必要に応じていつでも技術サポートを受けることができます。このプロセスにおけるバルメットの専門知識を理由に、この LignoBoost XSプラントを選択しました。小規模なプラントでこの市場に参入する方が早いこともわかっていました。1年足らずで工場を完成させましたが、実際にはそれほど小さくはありません。1日あたり 1トンの乾燥リグニンが、この市場に参入するのに十分な量です。このプラントは、プロセスパラメータと、将来の商業プラントの可能性に対するリグニンの適合性や特性を研究するための基礎を提供してくれます。」と Augusto氏は続ける。

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Valmet LignoBoost XSプラントは、輸送や据付が容易になるように設計されている

バルメットのリグニン抽出ソリューションは、さまざまな品質のリグニンを生成し、またさまざまな生産環境に適合するよう、長年にわたって開発されてきた。Klabin社の LignoBoostプラントは、建設、輸送、据付が容易になるように設計されている。松とユーカリの両方の黒液で使用できる柔軟性を備えながら、実用的でコンパクトなソリューションという Klabin社の要件を満たす必要があった。このプラントには、リグニンの洗浄や精製など、商業規模の LignoBoostが必要とするすべてのステップが含まれている。これにより、残留ナトリウムやその他の汚染物質が少なく高純度になり、より困難なアプリケーションでもリグニンを使用できる可能性が高まる。

「以前のプロジェクトから学んだ多くの教訓を生かすことで、効率的かつ迅速なスタートアップが可能になりました。このプラントは、操業開始から最初の 10日間で、優れた効率とプロセスの安定性を備えた設計性能を達成しました。プラントは 2019年 11月に稼働を開始し、すでに成功を収めています。Klabin社の LignoBoost XSでの性能テストは期待に応えました。」とバルメット南米の回収およびエネルギーセールスマネージャー Felippe Rosaは述べている。

新しいバイオ製品に向けて

「バルメットのミッションは、再生可能な原材料を持続可能な結果に変換する技術を開発することです。リグニン抽出は、私たちが継続的に開発しているソリューションの 1つです。パルプ工場は間もなく真のバイオリファイナリーとなり、繊維を生産するだけでなく、化石原料に代わるさまざまな再生可能製品を備えるだろうと信じています。リグニンは、この変革を可能にする主な要因の1つになるでしょう。」とバルメット南米地域社長 Celso Taclaは述べている。

Klabin社は、リグニン市場に対し機会提供の継続やより多くの需要を期待している。これにより、Klabin社はこの技術をより大きな規模で利用し、パルプ工場のプロセスと統合できるようになるだろう。

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Klabin社のLignoBoostプラントは 2019年 11月に稼働を開始し、すでに成功を収めている

「私たちは、プロセスが機能し、適正な製品特性と品質パラメータを備えていることを確認したかったのです。リグニンの性能は一定であり、純度が高く、リグニンの品質を損ねる灰分や無機物が少ない製品を得ることができます。この作業により、プロセスの不確実性を排除し、市場の成長や将来的な生産規模の拡大に備えることができます。成功することは間違いありません。」と Razzolini氏は結論付ける。