SCA社では世界最大の針葉樹パルプラインの操業を開始

SCA Östrand’s new cooking plant

世界最大の漂白針葉樹クラフトパルプ生産ラインが、現在スウェーデンで稼働している。SCA社の大規模な Heliosプロジェクトは既存の Östrandパルプ工場を全面的に改修するものだが、教科書のような成功実施例だ。

2019年2月14日、スウェーデン国王 Carl XVI Gustafによって新しい SCA社 Östrandパルプ工場が落成した。スウェーデン北部における過去最大の産業投資を意味するこのプロジェクトは、最先端のパルプ工場を生み出した。落成式には、国王に加えて、スウェーデン政府の代表者、国際的なパルプ業界の顧客、SCA社の株主、およびプロジェクトに携わった人々から選ばれた者たちが参加した。この Heliosプロジェクトが、SCA社、同社顧客、およびスウェーデン全体にとっても、大きな意味を持っているのは間違いない。

「SCA社とその顧客は、製品品質、環境適合性、および将来の競争力の点で、この世界有数のパルプ工場を頼りにすることができます。」SCA社の社長兼CEO Ulf Larsson氏はこう説明する。「それだけでなく、Östrand工場は今後この地域の成長、雇用、および経済発展に大きく貢献し、多くの人々にこの先見的な投資から直接および間接の長期的な利益をもたらすでしょう。」

私たちの将来の競争力を高めるために、利用可能な最新技術があることを知るのも良いことです 。」と話す SCA社の新しい蒸解部門とファイバーラインのプロジェクトマネージャー Hans Rodling氏

大規模なプロジェクトに課せられた大きな課題

この大規模プロジェクトは、ギリシャ神話の太陽神 Heliosにちなんで命名された。これはまさに畏敬の念を引き起こすような、巨大事業への命名である。事業は 9つを超えるサブプロジェクトで構成されており、そのすべてが広範囲にわたっている。Heliosプロジェクトには延べ 7,900人が参加した。パルプ工場の建設作業、組み立て、架設から、スタータアップと試運転に至るまでの人数である。

Ingela Ekebro氏は SCA社 Heliosプロジェクトの総責任者であり、この実現という大変な重責を担った。「ゼロから条件を設定し、プロジェクトのインフラを整備し、それを実行しながらすべての様々な可動部分を調整することは、非常に面白く、やりがいがありました。」彼女は説明する。「この成功が意味するものは、私たちが世界最大の針葉樹パルプラインを、予算と時間通りに、しかも既存の工場におけるパルプ生産を妨げることなく、構築できたということです。そして最も重要なことは、これが重大な事故を引き起こさずに完了できたということです。」

このスタートアップは大成功を収めました。そして私たちは 1つのチームとして、本当に良く機能しました。”

SCA社は最良の全体的ソリューションを重視

この Heliosプロジェクトが完成したことにより、Östrand工場の年間生産能力は、漂白針葉樹パルプ 90万トンにまで倍増し、将来的には 100万トンに拡大する可能性がある。新たな 90万トンの生産レベルを達成するには、すべての機器が最高の性能で操業し、他のすべてのプロセスと最適に相互作用する必要がある。

Ingela Ekebro氏は続ける。「サプライヤーの選択については、運用の一貫性、エネルギー効率、コスト効率、および最終パルプ品質において最良の全体的ソリューションを達成することを、私たちは重視しました。バルメットは、エバポレーション、蒸解、ファイバーラインといった主要なユニット操作に最適な全体的ソリューションを提供してくれたと、私たちは判断しました。」

SCA社とバルメットには長い協力関係の歴史がある。多くの特徴的なプロジェクトを成功に導いてきた。しかしこのプロジェクトは、そのサイズゆえ、特別なものだ。「スウェーデン史上最大の産業プロジェクトの 1つで、このような重要な役割を果たすことは非常に刺激的であり、また大きな責任でもありました。」バルメットの Heliosプロジェクトディレクターである Thomas Olofssonはそう語る。「そしてSCA社は、私たちに対し常に最高のソリューションを求めるお客様です。これは、私たちの開発作業にとっても刺激が与えられることになり、私たち自身が、より磨かれたサプライヤーになることを意味します。」

エネルギー効率に関しては、エバポレーターラインが、SCA社が達成を目標とした、優れた有効性の好例だ。「このエバポレーションプラントは、先駆的な技術に基づく、現在世界で最もエネルギー効率の高い施設です。」SCA社のエバポレーションラインサブプロジェクトのプロジェクトマネージャー Åke Edwall氏はそう語る。「これは完璧に機能し、大量の水を処理し、大量の熱を回収すると同時に、メタノールを生成してグリーン電力を生成することもできます。」

運用の一貫性、エネルギー効率、コスト効率、および最終パルプ品質において最良の全体的ソリューションを達成することを、私たちは重視しました。

スタートアップの成功

最初のパルプ生産は、2018年6月23日、スウェーデンの夏至祭の日に開始された。長年の計画、準備、および建設を経た後、ついに SCA社はこのラインの能力証明を得た。失望したものは誰もいなかった。

「ほとんどすぐに優れたパルプ品質を達成しました。」SCA社のファイバーラインのプロセスマネージャーである Daniel Solberg氏は誇らしげに語る。「このスタートアップは大成功を収めました。私たちは 1つのチームとして、SCA社の内部およびバルメットとの間の両方で、本当に良く機能しました。」Thomas Olofsson氏も同意する。「スタートアップの成功は、私の最大の誇りです。高速かつ効率的であり、わずか数日後に、SCA社は良質の販売可能なパルプを入手し、実際に市場に出荷されました。」

このプロジェクトに参加することは稀有な経験だったと、SCA社の新しい蒸解部門とファイバーラインのプロジェクトマネージャーである Hans Rodling氏が言う。「世界最大の針葉樹蒸解装置の設置と試運転に携わったことは、非常に刺激的でした。また私たちの将来の競争力を高めるために、利用可能な最新技術があることを知るのも良いことです。」

シミュレーターのトレーニングにより完璧な出発点が提供された

スタートアップに先立ち、SCA社の運用および保守担当者 175名がバルメットによるトレーニングを受け、新しいパルプ工場を可能な限り最良の方法で管理および保守する方法を学んだ。トレーニングはいくつかのチャネルを介して実施された。従来の教室での授業、Valmet Online Learningによる自習、そしてパルプ工場プロセスシミュレーターを使用した実践的なトレーニングなどである。特にシミュレーターが、成功に向けて重要な役割を果たした。

「広範なシミュレータートレーニングを行ったことが、スタートアップが成功につながった理由だと思います。」Ingela Ekebro氏はそう話す。「シミュレーターはとても役に立ちました。オペレーターたちは、施設の運転に関する実践的なトレーニングを得ることができました。実のところ、当初バルメットが提案したよりも、私たちは多くの時間をシミュレータートレーニングに費やしましたが、それは明らかに成果がありました。」

「1日目から、私たちは何よりも安全第一を考えていました。」SCA社 Heliosプロジェクトの総責任者である Ingela Ekebro氏はそう語る。「例えば、プロジェクト中に合計 958の安全点検が完了しました。」

開かれた対話が成功のカギである

Heliosに参加している人々の多くは、問題解決に焦点を当てた率直で明確なコミュニケーションに基づく、優れたチームスピリットについて語る。SCA社の Åke Edwall氏はこう話す。「この規模のプロジェクトになると、問題が起こるのは日常茶飯事です。問題が発生すると直ちに、迅速なソリューションを達成するために、サプライヤーに直接申し入れました。バルメットの人々はこれらのことについて非常にオープンだと思います。この率直さが、Heliosの重要な成功要因であったことは確かです。」

「皆私たちには、素晴らしい協力関係と、このプロジェクトを達成したいという意欲がありました。すべてのレベルで真に結果志向の組織でした。」Hans Rodling氏はそう評す。「バルメットのサプライヤーとしての役割は非常に優れたものでした。SCA社にいる私たちは、バルメットの現場管理者との素晴らしいコミュニケーションに基づいて、すべての作業の進行状況について良く知り、理解することができました。」

 

“We put safety at the very top of our agenda right from day one,” says Ingela Ekebro, the President for Project Helios for SCA.

SCA社 Östrand工場の新しい新蒸解プラントはバルメットの CompactCooking™コンセプトに基づいている。ImpBin™浸透釜とそれに続くダイジェスターを備えた 2ベッセルシステムである。SCA社 Östrand工場のダイジェスターは高さ 64 m、直径 12.5 mであり、世界最大の針葉樹向けダイジェスターとなる。

安全第一

Heliosプロジェクトで何よりも大切なもの、それは安全であった。幸いなことに、この巨大プロジェクトの間に重大な事故は発生しなかった。これは安全・危機管理に向けられた厳しい注意の賜物である。

Ingela Ekebro氏は振り返る。「Heliosを開始する際に、私たちは他の同種の大型プロジェクトを数多く調査しました。残念なことに、どのプロジェクトでも少なくとも 1件の死亡事故が起こっていました。この事実を認識したことで、私たちは工事の初日から何よりもまず安全第一を重視しました。そのため、Heliosで重大事故が発生しないように、可能なことをすべて行う組織の設立に多くの時間と労力を費やしました。プロジェクトを通して、私たちは共に学び、能力を磨いていきました。事故やニアミスがある限り、完全に安心したり、改善を止めたりすることはできません。バルメットおよびその他のサプライヤーとの緊密な協力の下、リスク評価とルーティンを重視しました。」

「プロジェクト成功の尺度として、健康と安全は、他のすべての土台となる当然の前提条件です。」Ingela Ekebro氏はそう締めくくった。「最終的には、Heliosの安全性および生産性の両面での成功を、誰もが喜んでいます。」

工場の新しい 7エフェクト エバポレーションプラントは、スウェーデンではその種の最大のラインであり、1時間あたり 1,150トンの水を蒸発させ、82%のバージン乾燥固体を生成する。エバポレーションプラントは非常にエネルギー効率が高く、バルメットの蒸解プラントおよび液体メタノールを製造するためのメタノールプラントからの余剰熱の回収が組み込まれている。これにより、SCA社 Östrand工場は余剰エネルギーをグリーン電力の形で販売できる。

本文: Kristofer Sjöblom
写真: Torbjörn Bergkvist

本記事は広報誌 Forward magazine 2/2019に掲載されています。

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