革新的なモイスチャライザーを利用することで得られる直接的なメリット

2019年8月9日金曜日

イギリスの Iggesund Workington板紙工場は、Valmet IQ Moisturizerを板紙の生産にうまく導入し、特に坪量の多い製品に関して生産率の向上を実現した。

Iggesund Workington board mill in UK

INCADAとは、Workingtonで製造されている折畳み箱用板紙の名称である。この板紙は化学パルプの外層を用いた 5層構造をしており、この構造によって INCADAの優れた外見、印刷性、強度が実現している。自社の製品を軽い素材で良好に保護しながら、パッケージにできるだけ良好な印刷を施したいと考えている企業にとって望ましい包装材料である。Workingtonの板紙抄紙機の各種プロセスの中で、必要とされる特性を達成するための要素のひとつとして乾燥部に設置されている片つや付け(MG)シリンダーがある。一般的には MGシリンダーやヤンキーシリンダーと呼ばれるこのシリンダーは、6 mを超える大きな直径を有している。蒸気加熱方式のシリンダーであり、表面には鏡面のような研磨鋼が使われている。板紙ウェブは水分を約 40%含有しており、シリンダーの表面に付着する。ウェブが回転シリンダーと接触すると、水分が低減し付着力がなくなるまで乾燥される。そして、シートはシリンダーから剥離し、厚みが損なわれることなく、研磨鋼によって高い平滑性と優れた剛性が維持される。

特に重量の大きいグレードについて、マシンの速度を数パーセント高速化することができました。

表面水分

MGシリンダーへの良好な付着性を実現したり、シートがシリンダーから剥離する剥離ラインを制御したりするには、適切な表面水分が必要である。表面水分や剥離ラインを制御する一般的な方法としては予備ドライヤーの蒸気圧を調整する方法があるが、当然ながらこの方法は、表面水分だけでなくシートの総水分にも影響を及ぼす。乾燥プロセスは小型のシリンダーで続けられるため、MGシリンダー以降のウェブ水分が多すぎると、乾燥後のプロセスが増産のボトルネックとなって機械の速度が制限される場合がある。

「これこそが我々が抱えていた問題だったのです。我々は、MGシリンダー以降の乾燥プロセスが制限されるという課題に取り組んでいましたが、事前乾燥の能力には十分すぎるほどの余裕がありました。表面水分だけを増大することによって静止摩擦、つまりシリンダーに対するウェブの粘着性を向上することで、必要とする表面特性が得られるのではないかと考えました。」と Iggesund Workingtonの開発技術者 Rolf Moring氏は説明する。

Rolf Moring, Iggesund Workington’s development engineer

Iggesund Workington 開発技術者 Rolf Moring氏

Valmet IQ Moisturizer

良好な静止摩擦や剥離ラインを実現するには、表面水分(表面に規定の範囲内の水分があることであり、ウェブ全体の水分のことではない)が重要であることをバルメットは認識しており、MGシリンダーの前に Valmet IQ Moisturizerを設置して、シートに理想的な表面水分を与えることを製紙工場に勧めている。Iggesundのプロジェクトエンジニア Mark Norman氏は言う。「MGの前にモイスチャライザーを使用することをバルメットに勧められました。このような目的でモイスチャライザーを使用することはそれほど一般的ではありませんが、バルメットはこの解決策の正当性を信じ、実際にそれが正しいことが証明されました。」

IQ Moisturizerは、製紙、板紙製造、コンバーティングの製造といった用途に使用できる業界で最先端のモイスチャライジングシステムである。IQ Moisturizerに備わっている 2段階のスプレーノズルによって細かい霧状の完全な円すい噴霧パターンが実現し、ウェブに効率的に噴霧することができる。この水滴は他に類を見ない細かいものであるため、片つや付け(MG)などの表面処理プロセスに近い用途に使用することができる。発注する前に、バルメットが提供してくれた 1 mの特別なトライアルユニットを使って工場で試験を実施した結果、モイスチャライジングシステムが期待に応えるものであることが判明した。

Mark Norman, Iggesund Project Engineer

Iggesund プロジェクトエンジニア Mark Norman氏

生産量の増大

Valmet IQ Moisturizerは、MGシリンダーの前で事前乾燥を完全に行うことによって、坪量の多い製品の処理を高速化できる可能性を秘めている。Valmet IQ Moisturizerは、MGシリンダーの直前でシートに噴霧を行い、総水分量が過度にならないようにしながら、シリンダーに付着するのに必要なシート表面水分を実現することができる。「我々は十分に満足しています。静止摩擦が向上し、特にMG後の乾燥が問題となっていた重量の大きいグレードについて、マシンの速度を数パーセント高速化することができました。」と Moring氏は言う。

スムーズな設置と立ち上げ

設置は3段階で行われた。19時間の保守停止時に、機械の運転時にはできないビームの設置と配管が行われ、最終的な設置が完了した。「設置・立ち上げ段階でバルメットのチームは首尾よく作業を行い、安全衛生に関するニアミスも発生することなく、合意した日程で作業が完了しました。立ち上げと最適化作業に関して注目すべき点がひとつあります。それは、マシンを起因とする生産ロスを引き起こすような、運転に関する問題や障害はまったく発生しなかったということです。設備は初日から問題なく機能しました。」と Norman氏は断言する。

Valmet IQ Moisturizer at Iggesund Workington

Workingtonの板紙抄紙機のウェブの下にある Valmet Moisturizer。写真中央には 2段スプレーヘッドの 3つのノズルが見える。