燃焼の最適化により NOx排出量を抑制

2020年4月21日火曜日

Pohjolan Voimaの価値は、2ヶ所のバイオ発電所において、巧みに、大胆に、そして協力して、燃焼の最適化とデータ解析により NOx排出量の削減とエネルギー効率の改善に成功し、復活したことにある。

Pohjolan Voimaはフィンランドのエネルギー部門の大手有力企業であり、同国の総発電量の約 20%のシェアを占めている。同社は、22ヶ所の発電所で、水力、火力、原子力発電により、輸出産業の企業、エネルギー企業、都市などの株主向けに、電力と熱エネルギーを生産している。

産業排出指令(IED)の同国での移行期間終了にともなう排出量制限の厳格化のため、同社は、フィンランドの Kouvolaにある Kymin Voima、および Lappeenrantaにある Kaukaan Voimaの 2つのバイオ発電所において NOx排出量を削減する方法を見つけなければならなかった。また同社は、両発電所でボイラーの効率を改善し、Kaukaan Voima発電所でアンモニアの使用量を削減したいと考えた。

燃焼制御に着目

両発電所はプロセス蒸気を生産し、熱と電力を地区に分配しており、主燃料は林業の中間留出液と森林廃棄物である。同社の燃料ミックスは季節に応じて変化する。Kymin Voimaのボイラーはバブリング流動床(BFB)テクノロジーを採用し、Kaukaan Voimaのボイラー装置は循環流動層(CFB)テクノロジーを採用している。

Valmet DNA at Kaukaan Voima biopower plant_570_2.jpg

Lappeenrantaにある Kaukaan Voma発電所

このお客様は、燃焼制御で実際に排出量を制御することの技術的な難しさを既に理解している。


このお客様は、燃焼制御で実際に排出量を制御することの技術的な難しさを既に理解している。「多くの場合、問題は燃料の供給に関連しています。ボイラー炉の幅が 10 m、20 mと広い場合は、燃料を炉全体に均一に供給することが困難です。良好な燃焼を実現する上で炉内の気泡部の炉砂は役立ちますが、これだけでは不十分です。さらに問題を難しくする要因が、燃料の品質と混合状態の変動です。」と Kaukaan Voimaの社長である Juha Kouki氏は述べている。

高度なプロセス制御により燃焼を最適化

ボイラー内での燃焼制御を改善して NOxの発生量を削減するための解決策は、バルメットとの緊密な連携により開発された。プロセス改善のため 2018年秋に行われた研究の後、最適燃焼を実現するための高度なプロセス制御アプリケーションである Valmet DNA Combustion Managerが、発電所の既存の Valmet DNA自動制御システムにインストールされた。

Control room at Kaukaan Voima's biopower plant in Lappeenranta_570.jpg

Kouvolaにある Kymin Voimaバイオ発電所の管制室。Pohjolan Voimaの両発電所は、高度な制御により、オペレーターの作業を簡素化し、手動操作に要する時間や作業をなくした。

Advanced control technology ensures even fuel input at all times.高度な制御技術により、常に燃料が均一に供給される。


この高度制御アプリケーションは、ファジー理論、測定値、測定データに基づいて、生産量、燃料の量、燃料の品質、燃焼環境の変動に対応できるように、燃焼プロセスを制御している。この高度制御テクノロジーは、常に均一な燃料供給も実現する。

Kymin Voimaの社長である Antti Rainio氏は次のように指摘している。「最も重要な改善点は、ボイラー全体で燃料をより均一に燃焼できることです。炉の下流側の酸素レベルをより高精度に制御できるため、削減も可能になります。さらに、これにより燃焼排ガス量を削減でき一酸化炭素の抑制が可能になります。燃焼ステージングも改善され、NOx排出量削減に寄与します。」

その他にもさまざまな利点があるが、その一つとして燃焼用空気が少なくてすむことがあり、これにより必要な補助電力を削減でき、発電所の運転性能を改善できる。また、燃焼排ガスが少ないためボイラーの効率が向上する。同じ量の燃料でより多くの熱とエネルギーを産出できるため、発電所のエネルギー効率が向上する。燃焼用空気が少ないと煙突に送られる熱も少なくなり、熱損失も小さくなる。

Valmet DNA automation at Kymin Voima biopower plant_570.jpg

Kouvolaにある Kymin Voimaバイオエネルギー発電所

化学物質使用量の削減

燃焼が最適化されたため、Kymin Voimaではアンモニア注入システムに支出する必要が全くなくった。Antti Rainio氏は次のように付け加えている。「今後制限が厳格化されても、弊社の現在の技術と、より正確な制御、泥炭などの NOx含有燃料の使用量削減により、弊社は排出量を制限値未満に維持できます。」

Kaukaan Voima発電所では、以前は主にアンモニア注入システムにより NOx排出量を制御していた。制御技術の高精度化により、このシステムの使用を減らすことが可能になり、その結果、化学物質の使用量を削減してコストを削減できた。

さらなるボーナスとして、高度な制御により両発電所のオペレーターの作業が楽になり、手動操作のための時間やその他の作業が不要になった。

 

写真 Hannu Vallas and Kai Tirkkonen

最も重要な改善点は、ボイラー全体で燃料をより均一に燃焼できることです。炉の下流側の酸素レベルをより高精度に制御できるため、削減も可能になります。さらに、これにより燃焼排ガス量を削減でき一酸化炭素の抑制が可能になります。燃焼ステージングも改善され、NOx排出量削減に寄与します。”
Kymin Voima 社長 Antti Rainio氏