Covid-19流行中に証明されたリモートサービスの有用性

2020年12月18日金曜日

新型コロナウイルス(Covid-19)の世界的流行の間、多くのお客様にとってリモートサービスという選択肢が非常に有用であることが証明された。お客様の操業の継続性確保に向けて、バルメットのエキスパートがリモートツールやリモート接続を用いてどのようにサポートしたのか、世界の事例を紹介しよう。

ケース 1: HUNAN HAIHUA(中国)

回収ボイラー向けのリモート検査ガイダンス

このような例外的な時期であってもお客様の操業を確保するため、バルメットはリモート検査ガイダンスを導入した。これは、バルメットのテクノロジーエキスパートのグローバルネットワークにより実行される回収ボイラー検査の標準的な方法であり、スウェーデンGothenburgに拠点を置く検査チームがサポートしている。

「中国湖南省懐化に拠点を置くHunan Juntai New Material Technology Co., Ltd.より、回収ボイラーの年次検査をご発注いただきました。渡航制限により検査そのものを実施することはできませんでしたが、その代わりとして、新しく開始されたリモート検査ガイダンスに従って検査を実行する選択肢を提案しました。」と検査担当製品マネージャー Magnus Kammerlindは説明する。

「現場視察に先立ち、詳細を話し合うオンライン会議を開催し、実際の作業の指示と優先順位リストを確認しました。現場では同僚が見たものすべてを写真やテキストで慎重に記録し、注意が必要な問題を一緒に検討しました。その後、バルメット中国の現地エキスパートがその問題についてさらにお客様と話し合いました。」と Kammerlindは手順を詳細に説明する。

取締役 工場施設部門担当 Chen Wensheng氏は次のように話す。「私たちはたくさんの良い提案をいただき、チューブクラックのリスクの高い所見は特に有益でした。一部はすぐに修正され、さらにいくつかの修正が計画されるでしょう。サービスは以前のサプライヤーとは大きく異なるため、次回もバルメットのプロフェッショナルサービスを予約したいと考えています。」

 

ケース 2: BABINA GREDA(クロアチア)

メンテナンスシャットダウンをオンラインで

新型コロナウイルスの世界的流行は、クロアチアにある Babina Greda発電所で実施される年次シャットダウンの計画を変更させた。フィンランドとオーストリアにあるバルメット サービスセンターとの安全なリモート接続のおかげで、2020年 8月の 2週間のシャットダウンは予定通りに範囲内で正常に実施された。

「シャットダウンはどんなときも困難なものですが、今年はコロナウイルス対策によってさらに困難になりました。メンテナンスの休憩中に他の人との接触を完全に回避することはできません。なぜなら、限られたスペースで物理的に一緒に作業する必要があるからです。」とプラントマネージャー Zlatko Rasoは説明する。

感染リスクを最小限に抑えるため、メンテナンス計画にはソーシャルディスタンスの確保やマスク着用が加えられ、迅速に改訂された。現場の外部サービス業者の数を減らし、オンラインによるリモート接続を使用して、フィンランドの Lapuaおよび Vantaa、オーストリアの Viennaにあるバルメットサービスセンターのボイラーおよびオートメーションのエキスパートとやり取りを行った。

「通常のシャットダウンでは、サービスセンターから 4〜5人のエキスパートが参加します。しかし、今回は渡航制限により現場に立ち会うことができなかったため、代わりにリモートサポートの機会が与えられました。以前小さな作業でリモート接続を使用しましたが、主要なシャットダウン作業に使用したことはありませんでした。」と Rasoは話す。

ボイラーのメンテナンスシャットダウンは、検査、オーバーホール、修理で構成され、エキスパートの立ち会いやノウハウが必要とされる。

「オンラインは初めてでしたのでどうなるか少し心配でしたが、最終的にはすべてうまくいきました。スタートアップを遅らせることなく、計画された作業範囲をすべて実施しました。」と Rasoは締めくくる。

 

ケース 3: NINGBO(中国)

現場とリモートのエキスパートが協力してドライヤセクションの改善を実施

中国の APP Ningbo工場では、新型コロナウイルス流行中にもかかわらず、2020年 4月に PM1の 2層ドライヤグループを 1層ドライヤグループに正常かつ予定通りに改造した。

Ningbo APPの当初の目標は、PM1の実行速度を設計速度である 1,000 m/s以上に上げることだったが、ドライヤグループ 1および 2の走行性がボトルネックの 1つであることが明らかになった。2019年にドライヤグループ 1が改善された後、2020年にグループ 2を継続することを決定した。下部のドライヤシリンダは真空ロールに変換され、Valmet Web Stabilazersが装備され、機器のセットアップにいくつかの追加調整が行われた。

新型コロナウイルスの流行拡大によってさらなる課題が提起されるまで、お客様とバルメットのチームの双方でプロジェクトの準備を整えていた。バルメットのエキスパートが現場に出向くことができなくなったため、フィンランドのバルメット パフォーマンスセンターからのリモートサポートを受けながら、バルメット中国の現地エンジニアがプロジェクトを実施することが決定された。

リモートサポートは最初にトレーニングに使用され、次に現場の操作手順に使用された。作業実施中、拡張現実(AR)スマートグラスと PointRを使用して、現場とフィンランドのパフォーマンスセンターにいるエキスパート間のライブ接続が可能となった。

生産マネージャー Hu Youping氏はプロジェクトの結果に満足している。「バルメットは私たちの長期的なパートナーであり、お互いを信頼しています。この改造プロジェクトは順調に進んで目標を達成することができ、この例外的な期間中のバルメットのリモートサービスに特に感銘を受けました。」

 

ケース 4:TRÊS LAGOAS(ブラジル)

パルプアナライザーへのリモートアクセスによりプログラミングの不具合を解決

新型コロナウイルスが世界的に流行する中、バルメットは、従業員とお客様の双方にとって安全に生産を継続する新しい方法として、製紙業界のお客様向けに完全なリモートソリューションを開発した。

リモートサービスの良い事例として Suzano S.A社 Três Lagoas工場があげられる。Suzano S.A.はユーカリパルプの世界最大の生産者である。同社は、カメラを使用してパルプシートの汚れの量を測定する Valmet Pulp Expert DCDアナライザーの問題を解決するために、リモートアシスタンスを依頼した。バルメットは、この作業における診断や機器への内部アクセス向けにさまざまなソフトウェアを使用した。

工場でバルメットの専門家が立ち会うことなく、リモートサポートサービスによってアナライザーの一連の動作のプログラミングにおける不具合の理由を検出した。バルメットの技術者がアナライザーにリモートアクセスすることにより、診断から Programmable Logic Controller(PLC)の修正まで、8時間の作業でプロセスを修正することができた。通常このようなサービスは、メンテナンスチームの移動時間や空き状況にもよるが、平均 3日程度かかる。

バルメット南米のサービス担当取締役 Felipe Florianiにとって、このような事例はリモートサービスの有用性を示している。「私たちはすでに様々なソリューションを利用していろいろなリモートサービスを実行しています。リモートサービスでさらに効果的にツールを使用できるよう、チームやお客様のトレーニングを続けていきます。」と彼は指摘する。

 

ケース 5: PORSEA(インドネシア・スマトラ北部)

操業を中断することなく、古い制御システムのアップグレードの試運転をリモートで

新型コロナウイルスの流行やそれに伴う渡航制限は、インドネシア PT Toba Pulp Lestari Tbk(TPL)での古い制御システム交換の試運転をリモートで行うという先駆的な取り組みを決定づけた。プロジェクトの成功は、バルメット インドのオートメーションスペシャリストからのリモートサポートの支援を受けて、TPLの担当者によって達成された。

すでに寿命を迎えていた既存の制御システムを置き換えるため、TPLは過密なスケジュールを設定した。現場でのサポートの可能性がないため、試運転は、ライブビデオおよびオーディオツールを使用してバルメットの指導を受けながら TPLが実行しなければならなかった。

TPLのチームはすべてのハードウェアを再構築し、古いキャビネットを取り外さずに、据付中に必要な条件に合うように I/Oのアドレスを再設計した。

バルメットと TPLは協力して綿密な試運転前の業務リストを作成した。これにより TPLは、バルメットのエンジニアのリモート監視の下で、約 650の入力および出力(I/O)を備えた 3つのキャビネットを 2日間で設置できる。バルメットのシステムの準備が整い、現場が完全に停止すると、TPLの担当者はコントロールを 1つずつ Valmet DNAシステムに移した。切り替え中に工場のプロセスが中断されることはなかった。

この斬新なプロジェクトは、適切な計画、完全なハザード操作性解析(HAZOP)およびリモートサポートだけで可能となった。それ以来、TPLは Valmet DNAの性能に非常に満足している。