Valmet Energy R&D Center - エネルギーイノベーションの最前線

Valmet Energy R&D Center(エネルギー関連 R&Dセンター)は世界でも類を見ない施設であり、エネルギー生産者が循環性と資源効率を次のレベルに引き上げ、より安価で持続可能な燃料ポートフォリオ(燃料の組合わせ)を拡大することを可能にする。

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フィンランドの Tampereにある Valmet Energy R&D Centerは、そのプロセスイノベーションや燃料試験能力で世界中のエネルギー生産者に知られている。1990年以来、このセンターでは流動床ボイラで 9,500トンの様々な燃料試験を実施し、膨大な量の燃料データを蓄積してきた。そして、顧客の投資コストとリスクを最小限に抑え、高い性能レベルを保証し、長期にわたって投資を確保するのを支援してきた。

このセンターでは、実験的なテストを実施して、ラボスケールのテストと商業的な実証プラントとのギャップを埋めている。ハイエンドの技術インフラと優秀な人材を組み合わせることで、性能と効率を向上させ、環境への影響を減らし、循環性を高め、そして燃料ポートフォリオを拡大することを目指している。大学や研究機関との協力関係も密接である。

Valmet Energy R&D Centerでは、技術をアイデアから実証済みの産業ソリューションへとスケールアップする。その段階は、研究(技術成熟度レベル(TRL)1-3)、開発(TRL 4-6)、展開(TRL 7-9)、そして各顧客に最適な燃料ブレンドを見つけるための段階的評価で構成されている。段階的に進めることで、投資リスクや後々の技術的な予期せぬ事態を最小限に抑え、この新しいソリューションが大規模に機能するという確信を得ることができる。さらに、プラントの限界と適切な操業を特定することもできる。

「このセンターは、エネルギー生産者が再生可能な残留燃料を使用し、資源不足や低品質燃料に対処するという今日の課題に対応できるようにする上で重要な役割を果たしています。」とバルメットのエネルギー事業 R&Dマネージャー Marko Palonenは述べている。「私たちは、より価値の高い最終製品への移行に向けてお客様をサポートしています。利用可能な資源から熱、蒸気、電力を生産する代わりに、そこから燃料、化学成分、材料を生産するための新しいソリューションも開発しています。」

バルメットの Beyond Circularityプログラムは、廃棄物や排出物を持続可能な成長のための価値ある資源に変換し、グリーントランジションを加速することを目指している。このプログラムの目標は、バルメットの技術ビジョン 2030や、「カーボンニュートラルな未来へ」と呼ばれる気候変動プログラムに密接に関連している。

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資源効率を高めるための触媒熱分解

One of the center's circularity-related R&D projects focuses on biorefining and a new biomass pyrolysis solution to turn local sustainable feedstocks into global renewable transportation fuels and biochemicals. Valmet’s catalytic pyrolysis—Valmet Pyrolyzer—is a robust technology that catalyzes the pyrolysis vapors directly without hydrogen. 

このセンターの循環性関連の研究開発プロジェクトの一つは、バイオリファイニングと新しいバイオマス熱分解ソリューションに重点を置き、地域の持続可能な原料を世界規模の再生可能な輸送燃料やバイオケミカルに変換することを目指している。バルメットの触媒熱分解 Valmet Pyrolyzerは、水素を使用せずに熱分解蒸気を直接触媒化する堅牢な技術である。

「急速熱分解の商業化に成功した後、現在は輸送燃料用の触媒熱分解を市場に投入するために取り組んでいます。」とバルメット 熱分解担当マネージャー Jouko Latva-Somppiは述べている。「触媒によるアップグレードを伴う熱分解により、森林残渣などのバイオマスから従来の製油所向けのバイオ原油を生産することができます。欧州連合(EU)は輸送燃料に占めるバイオ燃料の割合を高めることを要求しており、それを実現する唯一の方法は森林産業からの副産物をそれらに加えるしかありません。」

このセンターには世界最大の触媒熱分解パイロットプラントがある。2023年に正常に稼働し、現在は小規模な工業規模(毎時 400 kg DS)でパイロット運転を行っている。目標は、2025年に毎時 5-20 tDS、2027年までに毎時 50-100 tDSの準備を整えることである。

混合プラスチック廃棄物(ポリオレフィン)とポリスチレンのリサイクルも、もう一つの興味深い研究開発分野である。バルメットは現在、パートナーと共にパイロットプロジェクトを実施している。

 

最適な燃料ブレンドをテストして見つける

エネルギー生産者は、持続可能性を高め、生産の脱炭素化を進める機会を模索する中で、農業残渣のような、新しく、未知で、時には非常に扱いの難しい燃料の使用に関して不確実性に直面することがよくある。流動床ボイラでエネルギー生産に使用できるのか、また燃焼特性はどうなのか? 腐食や汚れはどの程度発生するのか? 妥当なコストで排出制限に達成することができるのか? 灰の状態はどうなのか?

「当施設では、エネルギー生産者がこれらの特性をテストし、必要とされる回答や燃料データを得ることや、潜在的な投資を事前に確保することができます。このテストにより、技術的および経済的リスクが軽減されます。」とバルメット エネルギー関連 R&Dセンター チームリーダー Mikko Varonenは指摘する。「現在の燃料ブレンドの拡張には、通常、パイロット運転の必要がありません。これは、Valmet Boiler Combustibility Study(ボイラ燃焼性調査)によって制限を特定することができるためです。このように、このサービスはお客様の燃料ブレンドの拡張を支援します。但し、何か新しくめずらしいものが追加される場合は、パイロット運転が必要になるかもしれません。」

過去数年間、バルメットは様々な再生可能なアグリ由来燃料(例: 藁やパーム産業からの空果房(EFB))、石炭洗浄廃棄物、石油精製プロセスの副産物であるアスファルテンなど、新しい燃料をテストしてきた。アスファルテンは化石燃料に分類されるが、その燃焼は本来無用な廃棄物をエネルギーに変換することで循環性をサポートする。

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唯一無二の施設と設備

これらすべてのパイロットトライアルを実施するために、バルメットは包括的な分析サービスや専門家ネットワークへのアクセスを含む、完全な流動床ボイラのパイロット施設を提供している。この施設は社内の研究開発業務にも幅広く対応している。施設には、流動床ボイラ、チューブリアクタ、コールドモデル、フルスケールのフィールドテスト用機器、計測用機器、排ガス用スクラバーが含まれている。このプラントには、バルメットのエネルギーオートメーションシステムと最新の DCSバージョンである Valmet DNAeが装備されている。

 

バルメットは、フルスケールのテスト用に、汚れや腐食などの研究に活用できる独自の測定装置を開発した。測定結果の分析と共に、例えば燃料の変更などに関する意思決定のための確かな基盤を提供する。バルメットはまた、様々な化学物質の影響をテストし、排出削減のために必要な量を定義するために、顧客のプラントに移動可能な移動式添加剤注入ユニットも用意している。

 

バイオマスを用いた酸素燃焼

酸素燃焼は、もう一つの興味深い研究分野である。この技術は 2011年にバルメットによって開発され、実証されているため、パイロットテストは必要ない。しかし、当時はバイオマスとは異なる挙動を示す化石石炭を使用して実施された。

「バルメットはバイオマスの熱化学処理の専門家であり、関連する課題や落とし穴を十分に理解しています。私たちのインフラや専門知識を活用することで、パイロットテストの成功の可能性は非常に高いものとなっています。」と Varonenは付け加える。

炭素回収向けの研究開発も

Energy R&D Centerでは、バイオ燃料と燃焼テストに加え、高度な大気汚染防止技術にも力を入れている。長年にわたり、Valmet Bag House Filter(BHF、バグハウスフィルター)と Valmet Electrostatic Precipitator(ESP、電気集塵機)の主要コンポーネントの開発に多大な労力を費やしてきた。

バルメットのパイロット施設に最近追加されたものの一つに、排ガススクラバーがある。これは、海洋産業とエネルギー産業の両方における燃焼排ガス処理のための高効率環境システムのテストや開発のために設計されたものである。

また、この施設には Direct Contact Cooler(DCC、直接接触型クーラー)が備わっており、NOx削減ソリューションと全体的な排出制御戦略の包括的なテストを可能にする。さらに、同センターは、微粒子を捕捉し、有害な排出を削減する上で重要な役割を果たしている Wet Electrostatic Precipitator(Wet ESP、湿式電気集塵機)技術の開発をサポートしている。

ネットゼロ排出を達成するためには、Bioenergy Carbon Capture Utilization and Storage(BECCUS)が重要な役割を果たしている。

先進的な燃焼排ガス前処理は、炭素回収プラントの実装を成功させるためのカギである。より最適化された燃焼排ガス処理は、厳しい排出基準を確実に順守するだけでなく、脱炭素化プロセスの効率を改善させるためにも必要である。

BECCUSは、二酸化炭素の除去を通じて収益を上げるだけでなく、Power-to-X(PtX)プロセス用のバイオベースのグリーンCO2の供給源を生み出す可能性がある。

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お問い合わせ

  • バルメット株式会社
    サービス事業部 パルプ&エネルギー技術部 エネルギーグループ TEL 03-6744-3045

バルメットのエネルギー生産向け R&D Center

  • 流動床ボイラ、熱分解、環境システムの研究に注力
  • 施設には、流動床ボイラ、熱分解パイロット、チューブリアクタ、コールドモデル、フルスケールのフィールドテスト用機器、計測用機器が含まれている
  • 設備: 4 MWth CFB、2 MWth BFB、熱分解リアクタ、10–100 kW チューブリアクタ、コールドモデル
  • Valmet DCSシステムの最新バージョンである Valmet DNAeは、この施設でパイロットテストが行われている

テストの主な対象:

  • 製品のパフォーマンスと効率の向上
  • 環境への影響を軽減する
  • 燃料ポートフォリオの拡大

テスト設備に含まれるもの:

  • 流動床ボイラを中心とした燃料試験装置
  • バイオ原油生産のためのパイロット規模の熱分解装置
  • 燃焼排ガスの開発用機器
  • フルスケールのフィールドテストと測定のための機器
  • オンデマンドで使用できるテストユニット
  • 自動化に関する研究開発への参加