インテリジェントな巨大施設 - Bohui Zibo BM6

2019年12月12日木曜日

Bohui社が、この種のものとしては幅も含めアジア最大の新型段ボール原紙製造機BM 6を稼働させた。最初のスタートアップから転抄、印刷紙生産にいたるあらゆる段階で、現場プロセスおよび機械の最適化が、バルメットのパフォーマンスセンターから来た世界的な専門家のサポートを受けてきた。

幅 9,600 mm、設計速度毎分 1,600 mを誇る Bohui BM 6は、軽量化かつ高強度の段ボールライナー、中芯および印刷紙を生産できる。2019年3月、山東省桓台で操業を開始した BM 6は、現在、単一製造機による生産量としては中国で最大幅、最大規模の段ボール原紙生産ラインとなっている。

Bohui社のプロジェクトディレクター Zhou Tao氏は、中国国内および海外でバルメットの各種技術や研究を幅広く直接体験してきたチームがこの総合的ソリューションには感銘を受けたのだ、と説明している。「私たちは、安定性が高く、出力が大きく、単位エネルギー消費が少ない、この意欲的な生産ラインに投資することを選択しました。このスケールメリットにより、私たちは利益率を高めることができ、それが当社を競合他社から差別化できるための主な方法です。」と Zhou氏は述べている。

インダストリアル・インターネット:「私たちは、世界レベルの専門家といつでもリモートでつなぐことができます。”

段ボールから印刷紙へ

「印刷紙市場は緩やかに着実に伸びていますが、現在段ボール市場は、国際貿易の変動により低迷しています。私たちは最近印刷紙生産ラインの一つを停止しました。したがって、お客様を維持し続け、市場機会を捉えるため、私たちは BM 6を印刷紙生産用に転換させることにしました。」 と Zhou氏は述べている。
この転換は 1ヶ月以内に完了し、始動から 3日目には初回分の製品が市場に送られた。グレードAの合格率は 95%を超え、これは市場参入が成功したことの確かな証明である。

Bohui社の生産ディレクター Liu Yuguo氏は、生産を切り替える決定については疑いを持っていたことを認めている。Liu氏は、未経験の工場チームがこの任務を遂行できるか確信が持てなかった。しかし、今になって思い起こせば、すべての期待を上回った結果が得られたことに喜び、次のように述べている。「転換がこれほどうまく行くとは想像もできませんでした。また、最終製品の素晴らしい品質には本当に驚かされました。」

The-Intelligent-giant-Valmet.jpg

バルメットのパフォーマンスセンターからサポートされる増産

BM 6のスタートアップは、バルメットのパフォーマンスセンターからリモートでサポートされた。まず、段ボール製造機のスムーズな立ち上げを確実に行い、次に用紙生産への順調な転抄を保証した。バルメットのリモートサポート専門家が、現場の専門家とシームレスに連携した。
「リモートサポートの強みは、すべてのことがスムーズに行くようにすることにあります。」とバルメットの製紙技術部門マネージャー Heikki Tattariは述べている。「データに基づく作業により、サポートがより積極的になり、私たちはつねに一歩先に進むことができます。また、お客様と最高の専門家とをつないで、問題を解決しお客様を前方に導くための手っ取り早い方法でもあります。」

より具体的に言うと、バルメットのリモートサポート専門家ネットワークが、精密な分析を提供して、スタートアップおよび最適化段階中の現場作業をサポートする。Tattariは次のように説明している。「スタートアップはあわただしくなりがちなので、分析の時間が取れません。重要なのは、用紙をリールにセットすることです。現場での修理はたいてい鎮痛剤のようなもので痛みは取れますが、必ずしも問題を解決するとは限りません。リモートサポートの専門家は、データと長期的な恩恵を重視しているのです。」

秘密兵器としてのリモートサポート

パフォーマンスセンターに勤める専門家の一人である Jukka Savolainenは次のように述べている。「Bohui社との仕事の出発点は Valmet DNAシステムであり、またそのパフォーマンスセンターとの接続性でした。私たちは、MATLABに基づく当社独自の分析ツールとアルゴリズムを使用しています。これらの先進の診断ツールは、洋紙生産への転抄をサポートする上で重要であることが証明されています。」 SavolainenとTattariは、ともに Bohui社のチームを信頼している。「お客様は、いつも自社のプロセスに関して最高の専門家です。私たちは秘密兵器として、厄介なケースの場合に滞りなくサポートし、お客様の決定を支援するためのデータを提供できます。」と Savolainenは話す。

リモートサポートでは透明性が重要である。Bohui社には、何がどのように最適化されたかについての情報が記載された月次報告書が提出され、これにはさらなる提案や、深刻な問題に対する緊急措置などが含まれる。データセキュリティも最優先事項である。すべての接続は安全なリモート接続に基づいており、またバルメット内の選ばれた者だけがデータにアクセスできるようになっている。

詳細はビデオをクリックしてご覧ください:

Jukka-Savolainen.jpg

BM 6の立ち上げは、バルメットのパフォーマンスセンターから遠隔でサポートされた。バルメットの遠隔支援専門家が、現場の専門家とシームレスに連携した。(写真はフィンランド Jyväskyläにあるバルメットパフォーマンスセンターのテクノロジーマネージャー Jukka Savolainen)

Zhang-Tao-Si-Chenglin-570x277.jpg

Bohui社との仕事の出発点は Valmet DNAシステムであり、またそのパフォーマンスセンターとの接続性であった。(写真は Bohui BM 5および BM 6のオートメーションマネージャー Zhang Tao氏と、中国のバルメットオートメーション 北部担当マネージャー Si Chenglin)

 

スタートアップ後間もなく、BM 6の生産量および速度は設計能力および速度の 90%以上を達成しました。”

インダストリアル・インターネット アプリケーションにより向上した信頼性およびパフォーマンス

Bohui社の BM 6および BM 8には、ともに、生産量の低減を予測して回避するため、機械の状態および信頼性を精密に分析するアプリケーションなど、バルメットのインダストリアル・インターネット アプリケーションが活用されている。

「これらのツールにより、私たちはいつでも世界レベルの専門家とつながることができ、世界レベルの生産ラインをベンチマークとして使用し、世界のトップクラスに入ることができています。また、これは始まりに過ぎず、将来もっと多くの恩恵を得られると私は信じています。」と Liu氏は述べている。

OptiFiner.jpg

洋紙へのグレード転換をサポートするため、BM 6の紙料調成を OptiFinerリファイナーで強化した。

最適化を継続

プロセスは現在では安定しており、機械と自動化の協調も順調だが、BM 6の製品ポートフォリオがオフセット用紙、筆記用紙、学校用紙および静電複写用紙にまで拡大しているため、最適化は今後も継続される。

「次は、私たちが個々の機械部にまでさらに深く掘り下げて最適化することで、機械が計画通りのトン数を生産し続けられるようにし、また製品ポートフォリオも拡大できるようにします。」と Savolainenは話す。

Shaking-Hands-with-Zhang Haiyang-570x277.jpg

「2つのチームが、まるでひとつのチームのように動きました。私たちは、バルメットの専門家たちから多くのことを学んでおり、抄紙機も現在では順調に稼働しています。」と、BM 6生産マネージャー He Yujin氏は、バルメットのスタートアップエンジニア Zhang Haiyangと握手しながら話している。

共通の目標を達成

Zhou氏は、バルメットとの初めての協力が上手く行ったことに満足し、また両チームが共通の目標達成に向けて協力していることを喜んでいる。

「スタートアップから短期間のうちに、BM 6の生産量と速度が設計能力および速度の 90%以上に達しました。スタートアップ曲線は素晴らしく、またいくつかの指標は国際的な記録さえも破っています。バルメットの強力なチームに大変感謝しています。」とZhou氏は話を結んでいる。
「この融通がきく汎用抄紙機のおかげで、私たちは段ボール市場が回復したら、いつでも元に戻す準備を整えることができます。」と Zhou氏は述べている。

Zhou-Tao.jpg

「機械の高い安定性、高い生産量および少ない単位消費量が、スケールメリットとあいまって利益率を高めることができ、それが当社を競合他社から差別化できるための最善の方法です。」と Bohui社のプロジェクトディレクター Zhou Tao氏は述べる。

Liu-Yuguo.jpg

Bohui社の生産ディレクター Liu Yuguo氏によると、国内業界の現在の状況は抄紙機のトラブルが起きた後に分析するというやり方に依然として根差していて、予防的あるいは予見的分析は行われていない。このような状況は明らかに変わらなければならない。

先進の自動化

「この抄紙機の自動化レベルは非常に高く、機械と自動化のプラットフォームが統一されているのは有利です。」と Liu氏は述べている。Liu氏は、抄紙機の自動化精度および制御システムの連鎖反応とトリガーポイントは、今まで経験したものの中でも最高水準である、とも付け加えている。さらに、これは運用チームの経験や人材不足を大いに補ってくれる。生産ラインに必要なオペレーターはわずか 9人で、設備が非常に使いやすいからである。

高度な技術レベル

Zhou氏は機械の技術的ハイライトについて次のように述べている。「私たちの蒸気消費量は現在、中国国内で最低水準です。ダブルシュー式圧力部の設計のおかげで、私たちの想定よりも 20%も低くなっています。また、2層ヘッドボックスの設計も製品品質の確かな保証となっています。」

BM 6は、原料に 100%国産の OCCを使用して段ボールを生産している。「完成品の破裂強度と折り曲げ強度は、原料に20%のアメリカ製OCCを使用している類似の機械と同等です。これは私たちにとって大きなアドバンテージとなります。」と Zhou氏は付け加えている。

遠隔および現場サービス

「BM 6のスタートアップと最適化は、遠隔でも現場でもサポートされており、バルメットは現在、私たちがデータ分析を活用して業務を最適化するのを手伝ってくれています。」と Liu氏は述べている。機械の立ち上げにはバルメットの素材も使用され、また工場の整備作業はバルメットのスペア部品パッケージによってサポートされている。

本文 Sara Li, Kaisamaija Marttila
写真 Sara Li

本記事は広報誌 Forward magazine 3/2019 に掲載されています。

Related articles