Parenco社での蒸気と燃焼の見直し

2017年1月11日水曜日

Parenco社の所有権がH2 Equity Partnersに移管された 2012年以来、Parenco社は紙の生産に定期的に投資している。最近の投資のひとつはバルメットのソリューションによりその蒸気分布を強化することであった。

オランダの Renkumを拠点とする Parenco社は、年間最大140万ユーロの売上高を得た。Parenco社の PM1は年間 27万トンの生産能力があり、雑誌や広告向けコート原紙の生産に使われている。2016年、PM2は新聞用紙マシンから、年間 38.5万トンの生産能力を持つパッケージング生産ラインに変換された。

Parenco

 

スチームネットワークの安定を目標に

Parenco社 パルプ&エネルギー部門アシスタントラインマネージャー Hans Hietbrink氏は、現場での蒸気生産に対して主に責任がある。Renkumにおいて主に蒸気を生産しているボイラーはバブリング流動床(BFB)技術を用いたバルメットの HYBEXボイラーで、K62と呼ばれ 50 MWの生産能力を持つ。このボイラーは毎時 48トンの蒸気を生産し、圧力 60 barでバイオマス燃料を使用する。
Hans Hietbrink

2015年、Parenco社での大規模な投資は蒸気生産を高めるために実施された。Hans Hietbrink氏は Parenco社が解決しなければならなかった課題について次のように述べる:「私たちのゴールは、蒸気ネットワークと圧力の安定化、より積極的に蒸気貯蔵器を使用することによる蒸気使用の最小化のためでした。」

2015年12月、蒸気生産効率の改善のためにバルメットが現地に赴き、プロジェクトがスタートした。まず、PM1への蒸気分布が2015年8月に完了。それから2016年後半に、プロジェクトは新たにPM2にも対象範囲が広げられた。

バルメットのオートメーションソリューションが蒸気生産を強化

Parenco社は目標達成のために、スチームネットワークを安定させる高度プロセス制御(APC)アプリケーションの1つである Valmet DNA Steam Network Managerから成るバルメットのオートメーションソリューションを選択した。これは多変数モデル予測制御を利用して、スチームネットワークの変数数種を同時に制御するものである。

同時に、APCアプリケーションの1つであるバルメット DNA FBB Combustion Managerも納入された。このアプリケーションはファジー論理制御を利用して数種の変数を調節し、ボイラーの燃焼を最適化する。

Hans Hietbrink and Stephan Wenzel

Parenco社 Hans Hietbrink氏(左)とバルメットの Stephan Wenzel

据付の前に、既存のオートメーションとバルメットのアドバンストコントロールとを関連付ける最良の方法を見つけるため、徹底的な調査が行われた。結果的に、データ転送を確実に行うため通信はOPCリンクを通して築かれた。

重要な役割を担うバイオマスボイラーの出力増強

Parenco社はガスボイラーをバイオマスボイラーに置き換えることを目指しているため、バイオマスボイラーの出力増強が特に重要となる。バイオマスボイラーの高出力は Parenco社が特に求めていたものだった。バルメットのソリューションにより、これも達成された。ボイラー負荷の設定値は、スチームの消費量に寄与している。今ではバイオマスボイラーが必要な負荷を供給できるようになり、蒸気貯蔵器が短期的な蒸気バランスを補うようになっている。蒸気タービンは操業から外れ、ガスボイラーの使用は次第に少なくなり、その結果、不必要なガスボイラーの利用が 70%以上も減少した。

「バルメットの DNA Steam Network Managerは製紙工場の蒸気分布を管理し、結果的に蒸気の質も大幅に改善されています。加えて、蒸気圧、温度と断紙の回数の関係性により、断紙の減少が生じています。だからこそ紙生産においてはスチームネットワークの安定性が非常に重要なのです。」と Hietbrink氏は説明する。

この製紙工場は、バイオマスボイラー内の蒸気の負荷設定値とガスボイラー内の燃料供給の設定値を操作できる一方で、HP蒸気圧、MP2蒸気圧、および蒸気貯蔵器の圧力が制御可能な変数になっている。今日の結果を見れば、蒸気生産プロセス全体が最適化されていることがはっきりわかる。

Parenco

Combustion Managerがプロセスを安定化

バルメットの Combustion Managerアプリケーションは、生産量、燃料の量、燃焼の変動からプロセスを保護する。「DNA FBB Combustion Managerによる支援のおかげで、ボイラーの効率が明らかに向上しています。窒素酸化物(NOx)と二酸化炭素(CO2)の排出も、最小限に抑えられるようになりました」と Hietbrink氏は言う。

Parenco社は排出制限を慎重に順守し、その数字を当局に報告しなければならない。「私たちは数百種類のパラメーターを追跡しなければならないのですが、このアプリケーションがそれらを絶えずチェックしてくれます。手作業でこれを行うのは不可能です。しかも、決定的に重要なパラメーターの1つである排煙も削減されました。」と Hietbrink氏は述べている。

オペレータ向けの実地研修

バルメットのインダストリアル・インターネットはAPCソリューションを含んでいる。データの収集・分析能力を改善すれば、製紙工場は効率と生産性を向上させられる。APCはオペレータが最善の操作条件を採用できるよう手助けをする。

Stephan Wenzelバルメットのセールスマネージャーである Stephan Wenzelは次のように説明する: 「オペレータが APCを信頼することが非常に重要です。彼らがすべての変数を一度に見ることは不可能なので、分散制御システム(DCS)とともにAPCも必要なのです。」

Parenco社のオペレータは 5交代制で勤務しており、それぞれのシフトには3人のオペレータがいる。バルメットが現場でオペレータ全員に実地研修を行うため、万全の準備が整えられた。「APCのすべてのメリットを得るためには使い続けなければならず、オペレータのやる気を起こさせなければなりません。私たちのオペレータはどのようにシステムが稼動するかを知っていますので、24時間年中無休で使用しています。」と Hans Hietbrink氏は話す。

Jeroen LiebrandParenco社のオペレータの 1人である Jeroen Liebrand氏は、APCのメリットを次のように証言している: 「バルメットのソリューションを利用すれば、ボイラーの性能を簡単に最大限まで高められます。私たちは何百種類もの細かい項目に注意しなくてはならないのですが、その値を毎秒変更することなどできません。しかしそれを APCがやってくれるので、私たちにとっては最良のツールなのです。私たちはより効率的に、他のことに集中することができます。」

 

 

バルメットの協力により目標を達成

Parenco社は今、APCのメリットという成果を享受している。バルメットのソリューションによって、バイオマスボイラーとガスボイラーの利用が望ましい比率になり、LD蒸気の噴出が最小限に抑えられるとともに、その他多数の利益も達成されたことで、より環境に優しい中で同社の製紙工場が高品質な製品をより低コストで生産するのに役立っている。

このプロジェクトの第一部はおよそ 6ヶ月以内に実現された。今までのところ結果は目標に向かっており、投資に対する資本回収期間は1年未満である。

Jeroen Liebrand, Stephan Wenzel and Hans Hietbrink

制御室にて。Jeroen Liebrand氏(左)、Stephan Wenzel(中央)、Hans Hietbrink氏(右)

Hans Hietbrink氏はこの協力に満足している。「プロジェクトの主要な目標を達成済みです。バルメットの専門家たちは常に私たちの問い合わせに応えて助けてくれます。バルメットと次のプロジェクトを行うのが楽しみです。」

バルメットの DNA Steam Network Managerは製紙工場の蒸気分布を管理し、結果的に蒸気の質も大幅に改善されています。加えて、蒸気圧、温度と断紙の回数の関係性により、断紙の減少が生じています。だからこそ紙生産においてはスチームネットワークの安定性が非常に重要なのです。”
Parenco社 パルプ&エネルギー部門 アシスタントラインマネージャー Hans Hietbrink氏