Metsä Tissue社 Žilina工場ではValmet IQの導入により放射線センサーの使用を停止

2015年9月21日月曜日

スロバキアの Metsä Tissue社 Žilina工場の No.1 ティシューマシンにおける QCS(品質管理システム)の最新アップグレードは非常に良い結果を得られ、カラーティッシュを製造する No.2 ティッシュマシンへの Valmet IQ Fiber測定システムの導入に繋がった。旧式の放射線坪量センサーを、繊維重量と水分の同時測定が可能な Valmet IQに置き換えた。バージンパルプから最大100%の再生完成紙料までを使用する 140台以上のティッシュマシンの設置に成功し、特別なサービスや安全要求のような放射線安全教育とライセンスの必要性がなくなった。

IQ Fiber traverses the tissue web supplying accurate oven dry basis weight and moisture for better quality control.

放射線源を使用した放射線坪量センサーは、長きに渡りティシューにおけるスキャニングの標準的な方法であった。この方法は測定精度も繰り返し精度も高いが、 使用につれ、放射線源減衰に起因する測定シグナルへのノイズ対策のために追加のフィルターが必要とされる。(図1)

 

図1: フィルターを掛けていない坪量プロファイル1スキャンの例。IQ Fiber(緑色)と比較して大きなノイズの放射線センサー(青色)

制御の目的ための絶乾坪量測定のために、 赤外線水分センサーは一般的に放射線センサーに並設される。バルメットの最新の赤外線技術では、同じ精度で絶乾重量(繊維重量)を測定し、同時に水分を測定できる。バルメット IQ Fiberは、1つのセンサーで両方の測定が可能なため、点検保守と予備部品のライフサイクルコストが大幅に削減され、放射線安全教育と取扱措置が不要になる。IQ Fiberは、正確なスキャン平均値と高解像度のCD(幅方向)プロファイルを測定することにより、流れ方向と幅方向の絶乾重量制御に対して、堅固な基礎が提供される。

バルメットの改良

Žilina工場の TM 1号機の QCS(品質管理システム)は 2013年に改良された。旧式の坪量および水分センサーが老朽化しつつあることと、坪量センサーの放射源が耐用年数に近づいているため、測定結果が徐々に劣化してきたことが理由である。制御系の一部を交換した以外に、TM 1号機のスキャナー改良により、IQ Fiber測定システムの据付が可能になった。

      

オートメーションシステムエンジニア
Stefan Matak氏

IQ Fiberなどの新技術に言えることだが、以前の方法との比較が重要である。Žilina工場のオートメーションシステムエンジニア Stefan Matak氏によると、新しい測定法は、旧式の放射線センサーと水分測定法より安定している。「繰返し精度は以前のものより優れており、ヘッド形状と汚れ に対する感度を気にする必要はありません。あらゆるティッシュ工場と同様に、空気中には多量の繊維粒子が含まれていますが、1年以上の稼働中に必要になっ た保守は、1日1回のクリーニングだけです。」と Matak氏は話している。

白色ティッシュグレード用の TM 1号機での良好な結果を受け、TM 2号機と色付きティッシュに工場の注目が集まった。測定に対する色と灰分の影響を評価するため、試料がバルメットの Tampere研究開発施設に送られた(図2)。Žilina工場で生産しているティッシュの原料は、灰分を約0.5%含有する100%バージンパルプ、または、灰分を最大3%含有する完全な再生完成紙料のいずれかで、ティッシュグレードが決まる。バルメットの Marko Toskalaが期待したとおり、様々な色付きティッシュグレードと灰分があるにもかかわらず、IQ FiberはTM 2号機で良好な成績を収めたことが、結果から確認された。「様々な色が測定原理どおり処理されています。事前に紙の試料で試験する必要があったのは、非常に濃い黒色だけでした。」と、Toskalaは説明している。

  

図2: 工場サンプルの検査結果は、Žilina工場で生産される様々なカラーティッシュの影響を受けない IQ Fiberの精度を示した

 

色付きグレードでの良好な結果

    

生産部長 Dusan Planeta氏

TM 2号機の改良は 2014年6月に実施された。Stefan Matak氏によると、結果は良好で問題は全くなかった。「新型センサーは、旧式の放射線センサーの非常に優れた代替品です。測定品質は、坪量と水分の両方について、同じか上回っています」。色付きティッシュで白色ティッシュと同等の良好な結果が得られたため、生産部長の Dusan Planeta氏にとって、IQ Fiberへの変更は簡単だった。「この新しい測定法で非常に良好な結果が得られました。放射線源が不要になることは、非常に大きいメリットの 1つです。 新型センサーは保守が容易で、今後は年 1回の放射線安全のための措置とコストがすべて不要になります。」

 

Metsä Tissue社 Žilina工場は同社の欧州でのティッシュ生産拠点の1つである。Metsä Tissueは高品質のティッシュペーパー(薄葉紙)とクッキングペーパーを扱う。家庭用と業務用のティッシュペーパーについては欧州の大手メーカーであり、ベーキングペーパーとクッキングペーパーについては世界的な大手メーカーである。同社は、6ヶ国に生産拠点があり、総従業員数は約 2,800名。Metsä Tissue社は Metsäグループに属している。