化石燃料を使用しないパルプ工場のライムキルン

Pulp mill worker at lime kiln

バルメットはライムキルンについても、100%再生可能燃料に移行するため、バイオマスベースの代替品を開発した。

現代のパルプ工場で化石燃料の使用する唯一の設備はライムキルンであり、通常その燃料は天然ガスまたは燃料油だ。1970年代および1980年代の石油危機に際し、運転コストを削減するために、いくつかの化石燃料代替品が開発された。近年、環境に優しいソリューションへの注目が高まっており、それはまた同時にパルプ工場の化石燃料への依存を減らすことにもなる。最新の技術と専門知識により、現在いくつかの商業的に実証されたカーボンニュートラルな化石燃料代替品が生まれている。2つの主な選択肢は、木粉焼成とバイオマスガス化だ。

直火式ロータリーキルンに使用される典型的な木質系バイオマス燃料は、木材チップやペレットからおがくずにまで至る

パルプ工場では、ライムキルンの燃料にメタノール、テレビン油、トール油が利用できる場合もある。これらは補助燃料としては適しているが、通常はライムキルンの燃料要件を満たすことはできない。バルメットには、燃料として使用可能なリグニンを黒液から抽出する技術もある。

安全で実績のある木粉燃焼

直火式ロータリーキルンに使用される典型的な木質系バイオマス燃料は、木材チップやペレットからおがくずにまで至る。木材をライムキルンの燃料として使用する前には、乾燥と粉砕を行う必要がある。

ライムキルンを木粉燃料で運転するように設計することは、バランスの必要な技術である。すべての工場プロセスと同様に、安全性は当然の出発点だ。木材が偶発的に発火するのを防ぐため温度を監視し、また特に破砕システム周りでは、適切な整理整頓が重要になる。安全性に加えて、水分含有量と粒子サイズを、エネルギー効率とキルン運転のために最適化する。低温ベルト乾燥機が、しばしば多くの場合オプションとして好まれる。工場の他のプロセスからの廃熱を利用することができ、頑丈に設計されており、バラバラな粒子サイズに適しているためだ。

キルンへの木材の流れを制御することは、安定した運転を行うために重要な要素だ。不安定な流れは燃焼ゾーンへの入熱量の変動を引き起こし、製品の品質に影響を与える。ライムキルンバーナーには柔軟性が必要だ。いくつかの異なる種類の燃料を安全かつ効率的に燃焼できなければならない。

新旧両方の工場に適したソリューション

「この10年間、木粉燃焼が完全に商業ベースに乗り、実績が証明され、そして最も重要なことに、ライムキルンの安全なソリューションになることを示してきました。現在ではパルプ工場を、化石燃料をまったく使用しない形に転換することが可能です。その結果、工場の二酸化炭素排出量と燃料コストを削減することが可能です。」バルメットのライムキルン技術ディレクター Claus Jensen-Holmはそう語る。

バルメットは、おがくず、ペレット、または木材チップを利用した複数の木粉燃焼システムを提供している。スウェーデンの SCA社 Munksund製紙工場は、木粉原料としてペレットを利用している。

SCA社 Munksund工場でライムキルンを点検する Fredrik Lind氏と Charles Brooks-Wind

「当社のライムキルンは 50年が経過し、今では時代遅れです。化石燃料を使用しないという当社の戦略に合わせて、バイオ燃料を利用した新しいキルンを建設することにしました。新しいキルンは 2015年1月に完成し、稼働しました。当初は、例えばリング形成や燃料流量の変動などの大きな問題がありました。トラブルシューティングとプロセス改善に何時間も費やした後、私たちは当初の設定目標に向けて大きな一歩を踏み出しました。運用効率が高く、環境への影響が少ない化石燃料を使用しないキルンです。」SCA社 Munksund工場の生産技術者である Fredrik Lind氏はそう語る。

SCA’s Munksund paper mill in Sweden utilizes pellets as a wood powder source.

SCA社 Munksund製紙工場は、木粉原料としてペレットを利用している

バイオマスのガス化で樹皮を利用

木粉燃焼とは異なり、樹皮はガス化におけるバイオマス源として利用可能である。バイオマスのガス化は、バイオマス乾燥機、ガス化炉、ライムキルンを組み合わせたシステムで、製品ガスの燃焼用に最適化されている。乾燥後、樹皮やその他の木材残渣は、空気量を制御し、CFBガス化装置によって高温でガス化される。生成された製品ガスは、その後製品ガス用に最適化されたライムキルンバーナーで燃焼される。


樹皮はガス化におけるバイオマス源として利用可能である

「課題の 1つは、プロセス全体を制御することです。樹皮は均一な燃料ではないため、プロセスの制御と最適化の方法を理解することが重要です。これこそが、乾燥機、ガス化炉、ライムキルン運転のプロセスを熟知しているバルメットが、その真価を発揮するところです。」バルメットのガス化装置ビジネス開発マネジャー Juhani Isakssonがそう説明する。

バルメットはガス化ライムキルン向けに 4つのソリューションを提供しており、Metsäグループ Äänekoskiバイオ製品工場向けが最初である。

 

「樹皮由来の製品ガスが、バイオ製品工場のライムキルン用に生成されます。これは工場からの化石燃料の完全な排除を可能にするソリューションの一例です。」Metsä Fibre社 Äänekoskiバイオ製品工場の副社長 Ilkka Poikolainen氏はこう語る。

“Bark-derived product gas is produced for the bioproduct mill’s lime kiln. This is one example of solutions which enable the mill to be fully free of fossil fuels,” says Ilkka Poikolainen, Vice President of the Äänekoski bioproduct mill, Metsä Fibre.

「樹皮由来の製品ガスが、バイオ製品工場のライムキルン用に生成されます。これは工場からの化石燃料の完全な排除を可能にするソリューションの一例です。」Metsä Fibre社 Äänekoskiバイオ製品工場の副社長 Ilkka Poikolainen氏は語る

最良の代替案を選択する

バイオマスベースのソリューションを選択する要因は様々である。会社として二酸化炭素排出量の削減に取り組んでいたり、あるいは工場を稼働する副産物として、適切なバイオマスが入手可能である場合もある。近年、バルメットはガス化と木粉ソリューションの両方を新工場用および工場改修用に提供している。

「最適なソリューションは、ケースごとに検討する必要があります。利用可能なバイオマス、キルンの大きさ、プロセスのボトルネックなどに基づく必要があります。ガス化は、樹皮の処分を自由に行える大規模または中規模のキルンを備えた工場に適したソリューションであり、一方木粉燃焼は小さなキルンに向いています。」Jensen-Holmはそのように説明する。

既存の化石燃料キルンを木粉燃焼またはガス化のいずれかに変換することも可能だ。しかしキルン燃料の変更には、キルン自体の設計と運転に影響する可能性があることを認識しておく必要がある。

最適なソリューションは、ケースごとに検討する必要があります。利用可能なバイオマス、キルンの大きさ、プロセスのボトルネックなどに基づく必要があります。”

バルメット ライムキルン技術ディレクター Claus Jensen-Holm

本文: Lotta Forssell

写真: Antti Ratia, Valmet, Metsä Group, SCA

本記事は広報誌 Forward magazine 1/2019に掲載されています。

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