新しい QCSシステムによるプロファイルの向上

2019年6月19日水曜日

Bäckhammar製紙工場の 2台の抄紙機に搭載されている新しい品質管理システム(QCS)は、坪量と水分のプロファイルを大幅に改善する一方、プロファイルのばらつきを減らした。

New quality control systems (QCS) in both paper machines at Bäckhammar paper mill have drastically improved grammage and moisture profiles while reducing profile variations.

スウェーデンにある Bäckhammar工場は、Nordic Paper Group社の最大の紙パルプ工場であり、23万トンの未漂白クラフトパルプと 16万トンの未漂白クラフト紙の生産能力を持っている。同工場には PM 4設備と PM 5設備の 2台の抄紙機がある。以前の QCSシステムは古く、交換が必要であった。

2シグマの偏差を 20%削減することを目標に

PM 5設備は長網抄紙機であり、その能力は坪量 58〜130 g/m2のサッククラフト紙 11万トンである。サック紙に最大の伸縮特性を与えるために、プレス部は 5つのドライシリンダー群、1つのエキスパンダーおよび 1つのエアドライヤー部から構成されている。2001年以来、同設備はバルメットの希釈ヘッドボックスを搭載し、横方向の坪量プロファイルを制御している。

「既存の品質管理システムはかなり以前に設置されたものです。耐用年数がきており、交換が必要でした。」Bäckhammar工場で今回の QCS更新を担当した、プロジェクトマネジャーである Thomas Skoglund氏が説明する。「システムは古く、もう補用部品も手に入りませんでした。横方向のプロファイルは基準に達していなかったため、PM 5設備に新しい品質管理システムを導入する必要がありました。」

「新システムの設置は、2016年 9月に行われる 1年に一度の保守のための停止期間中に行わなければなりませんでした。」Skoglund氏は言う。「そのため、当社に最適なシステムを見つけるために、可能性のあるサプライヤーとの面談や検討を行いました。価格とサポート体制は勿論ですが、私たちの目標つまり要求は、オーブン乾燥重量プロファイルの 2シグマ偏差の少なくとも 2割減を達成することでした。様々なサプライヤーからの見積りを検討した結果、バルメットの QCSシステムを選択しました。これはバルメットの QCSシステムと他のサプライヤーからの既存の DCSシステムとの間の通信を、OPCリンクで行うことを意味しました。その後 OPCリンクは標準以下のソリューションであったことが判明し、将来はmodbusリンクに置き換えられる予定です。」

プロジェクトは以下の通りの構成されていた: ヘッドボックスの希釈コントロールの改良、坪量、水分および気孔率を測定するIQ 2015スキャナー、エキスパンダーユニット前の固定点における水分センサー、MDとグレード変更制御、ならびにIQと既存のDCSシステム間の通信リンク。

Thomas Skoglund and Tony Tran, Nordic Paper Bäckhammar, and Kari Veikkolainen, Valmet

Thomas Skoglund氏と Tony Tran氏(Nordic Paper社 Bäckhamma)、Kari Veikkolainen(バルメット)は、PM 4プロファイルのばらつきが大幅に改善されたことを喜んでいる。

PM 4設備ヘッドボックスに搭載された新スライス制御

PM 4設備もまた長網抄紙機であり、その能力は坪量 38〜120 g/m2の未漂白 MGクラフト紙 5万トンである。Bäckhammar工場で生産される MGクラフト紙は、例えばバッグや包装紙として使用されている。ヘッドボックスには坪量プロファイルのスライス制御が搭載されている。ドライ部には、1台の Yankeeシリンダーと数台のドライシリンダーがある。

「PM 4設備の新品質管理システムとは別に、私たちはヘッドボックスの旧スライス制御も交換する必要がありました。」Skoglund氏は続ける。「ここでもまた、可能性のある様々なサプライヤーからの見積りを検討し、今回もまたバルメットの QCSシステムを採用することを決断しました。この判断の理由は、私たちがすでに PM 5設備の QCSサプライヤーとしてバルメットを選択していたことです。それと同様に重要だったのは、同社が新しいアッパーリップを設置し、ヘッドボックスのアンダーリップをポリッシュすることができたからです。」

「スライス制御と QCSシステムの設置は、2017年 9月の保守点検のための休止期間中に行われました。プロジェクト全体の構成は下記の通りです。横方向制御付き IQ、ドライヤーセクションの Yankeeシリンダー前の 1台の IQ片側スキャナー、坪量、水分と気孔率を測定する IQ 2015スキャナー、MDとグレード変更制御、および IQと既存 DCSシステム間の通信リンク(modbus)です。」

どちらの抄紙機にも個別の水分プロファイル制御はない。坪量と水分プロファイルの制御は、それぞれの測定値を坪量プロファイルの制御値に組み合わせることによって行われる。品質に応じて、坪量と水分プロファイルの測定値は、両特性の可能な限り最良のプロファイルを達成するために、異なる重みを与えられる。PM 5設備のエキスパンダー前、および PM 4設備の MGシリンダーの水分レベルは、ドライヤー部の運転方法によって達成される。

新スライス制御と QCSシステムは、横方向のプロファイルを大幅に改善しました”

横方向プロファイルの改善

気孔率は輸入サック紙の特性であり、したがって気孔率プロファイルの測定は両方の IQスキャナーに組み込まれ、気孔率目標に確実に沿うように生産が行われる。気孔率レベルの制御は、カウチロール内の真空レベルによって、LC叩解の方法を決める方法によって行われる。

「バルメットの新スライス制御と QCSシステムは、PM 4設備についても横方向のプロファイルを大幅に改善しました。」Skoglund氏は言う。「我々の目標は、2シグマとして測定された横方向プロファイル偏差の少なくとも 2割減の改善でした。いくつかの品質ではマージンを超え、他ではほとんど達成されていませんでした。結局のところ、現在では 2台の抄紙機とも品質が向上しています。」

「QCSプロジェクトがどのように行われたかについてまとめると、次のようになります。」Skoglund氏は続ける。「振り返ると、PM 5設備の QCSシステムの準備と購入に向けた時間が少なすぎました。そのため立ち上げとその後の期間に、問題が発生しました。私たちは問題を修正するのに時間が掛かりすぎたと思います。その過程でバルメットはもっと素早い対応ができたのではないかと思います。」

「PM 4設備プロジェクトの場合には、私たちは十分な準備を整えることができました。可能性のあるサプライヤーに対し、私たちの要求と希望を明確にすることができました。この結果、立ち上げおよびその後の期間中に問題はほとんどなく、ずっとスムーズなプロジェクトになりました。」

サービスにおける継続的な協力

「現在私たちはバルメットとサービス契約を結んでおり、両方の抄紙機に対し年間 80時間のサービスを受ける内容です。」Bäckhammar工場のオートメーションマネジャーである Ulf Henriksson氏はこう述べる。「バルメットと私たちのスタッフとの間の協力関係は良好です。バルメットは私たちのシステムに接続し、問題の大部分を解決することができます。その結果、不要な緊急の出張を大幅に減らすことができます。ハードウェアではこれまで重大な問題がなく、私たちの問題はソフトウェア側にありました。」

「PM 5設備では、エキスパンダー前のドライヤー部に片側スキャナーを設置するのは止め、代わりに固定式水分測定を行うことにしました。」Skoglund氏は続ける。「一方 PM 4設備では、Yankeeシリンダーの直前に配置された IQ片面スキャナーを選択しました。スキャナーをテストに使用したのは、高温多湿の厳しい環境です。時折スキャナーが紙ウェブの下で均等に動かず、少し不規則に動きます。シーリングベルトを変更するので、問題が解決されるでしょう。良好な走行性を達成するためには Yankeeシリンダーの前に水分レベルを制御することが重要だからです。」

「両方の QCSプロジェクトの結果をまとめると、以前からのサプライヤーではなかったけれども、バルメットが私たちにとって最良の選択だったと私は思います。プロジェクト期間中にはいくつかの問題がありましたが、それらのほとんどは解決され、残りのいくつかについても間もなく解決されるでしょう。PM 4設備プロジェクトに関しては、バルメットがヘッドボックスの必要な技術的更新と新しい QCSシステムの設置の両方を行うことができたことは、間違いなくメリットでした。」Skoglund氏はこう結論する。

本文および写真: Sören Back

本記事は広報誌 Forward magazine 2/2019に掲載されています。