発電所における石炭の代替燃料 - ブラックペレット

2017年10月24日火曜日

蒸気爆砕で得たブラックペレットは、従来の“ホワイト”バイオマスペレットに比べより安全で費用効率の高い再生可能なバイオマス燃料であり、さらにより多くのエネルギーを注ぎ込む。バルメットのブラックペレットプラントは統合CHPプラントを具備しており、バイオマスの送り込みからブラックペレットの送り出しまでを含む生産設備である。また、バルメットは既存のホワイトペレットプラントの改造も提案する。

大量の再生可能な木質バイオマス原料は、世界中で幅広く競争力のある価格で入手できる。しかしながら、このバイオマス原料の最終ユーザーへの輸送は主に高湿度が原因となり非効率なことが多い。木質バイオマスの蒸気処理とそれに続く迅速な減圧によってこの問題は解決され、耐久性および耐水性のあるペレットまたはブリケットの製造にとって最適な低水分材料が生み出される。このようなペレットは安全で長距離輸送に適していることから、電力会社は世界中の豊富なバイオマス原料を利用することが可能になる。

 

蒸気爆砕プロセス

バルメットのブラックペレットは“蒸気爆砕”プロセス、つまり木質バイオマス原料が蒸気で処理され、次いで急激な減圧が行われることにより生産される。ペレット化を行った後、この原料は大規模な発電ボイラーでの燃焼に適した粉末状に磨り潰されるか、あるいはペレットに適した他のシステムで用いられる。

「原料は蒸気爆砕プロセスに入る前に乾燥させます。」とバルメットのセールスマネージャ Mattias Erixonは説明する。プラントは、バイオマスをバッファービンから加圧リアクターへとプラグスクリュー技術を用いて供給する。「プロセスに追加した唯 一のものは蒸気であり、リアクター内で一定時間バイオマスを保持します。」

「このシステムは、材料をリアクターから連続供給/供出ループに送り出します。」と Erixonは続ける。「リアクターから排出された原料はブローバルブを通ってブローラインに入り、それから原料はペレット化工程へと供給されます。バイオマスはリアクターシステムから排出され、高圧から低圧へと送られるときに分解が生じます。排出時の摩擦と蒸気爆砕の組み合わせが生じるときに高圧から常圧に変化し、これによって原料は分解します。」

バイオマス原料は通常サイズあるいはミクロサイズの木質チップと同等サイズの粒子となってシステムに入るが、ほぼ粉末のような小さな粒子で排出される。つまり、追加の圧密化を必要とする加熱乾燥のブラックペレットとは異なり、蒸気爆砕とペレット化の間には追加処理をまったく必要としない。「通常のホワイトペレット製品では、ペレット化の前に常にサイズの縮小が必要となります。しかし、この処理は蒸気爆砕プロセスがやってくれます。」と Erixonは話す。

 

統合CHPシステム

ブラックペレットプラントにはパッケージ化された熱電併給(CHP)システムを組み込むことができ、このシステムにより乾燥プロセス用の蒸気およびプラント用の電力が供給され、そして余剰電力はしばしばグリッドにを販売される。

「これがいかに魅力的であるかは固定価格買取制度によります。」と Erixonは説明する。「もしプロセス用の蒸気を提供したいだけなら、もっと安価なソリューションがあるでしょう。しかし場合によっては、CHPとブラックペレットプラントを統合することが全体の実現可能性の面から非常に魅力的なものになり得ます。蒸気爆砕プロセス用の蒸気と乾燥プロセス用のエネルギーを生産するものは何でも持つことができます。CHPプラントは高度にモジュール化されており、十分な実績に基づく標準化コンポーネントをベースとしているため納入と据付が迅速に行えます。プラントはまた高度な自動化がなされており、無人で 24時間体制の操業が可能となります。」

CHPプラントの稼動には燃料として廃棄物を推奨している。「同じ場所でブラックペレットを燃やすためだけのプロセスにはしたくありません。高いエネルギー価やある特性を持つ製品を作るのではなく、低品質の燃料、例えばデバーキング(皮剥ぎ)プロセスで出る樹皮などの使用を提案しています。水分の多い燃料も、プロセスからの残渣や市場で購入できるものは何でも用いることができます。」と Erixonは説明する。

 

有望な選択

ペレット燃料のバリューチェーン(価値連鎖)において最も重要な要素のひとつは原材料の費用であり、豊富で低価格の原料が利用可能になればペレットプロジェクトの経済は大幅に改善されることになる。蒸気爆砕プロセスは、低品質、低価格の原料を高品質製品にグレードアップする機会を作りだしてくれる。そのような原料のひとつはクラフトパルプから得られる樹皮である。現代のクラフトパルプ工場は非常に効率が良いので、内部用としてはすべての樹皮までは必要としないかもしれない。余剰樹皮はペレットにグレードアップして工業的用途での大量生産品として市場で販売することができる。もちろん、製材所のような他の木材処理産業から得られる樹皮も同様に利用することができる。「Sundsvallにあるバルメットのパイロットユニットは、製品品質パラメータを立証するために樹皮からブラックペレットを生産しました。パイロット運転によって、ブラックペレットの生産に針葉樹の樹皮が適合しているかどうかを確認しました。すぐに熱電産業向けに有望な選択肢を提供することになるかもしれません。」とバルメットのシニアプロセスエンジニア Peter Björklundは述べる。

 

立証済みの技術

ブラックペレットプラントの設計は、可能な限り標準的で立証済みのどこででも使える技術を用いることにより、新しい技術にもつきもののリスクを最小限に抑えるものである、と Erixonは話す。一例として、デバーキングチッパーの使用やチップスクリーニング、貯蔵システムの利用を挙げる。「私たちが使う製品は、紙パルプおよびエネルギー業界のお客様に提供するすべての中にあります。次のステップはベルトドライヤであり、これも立証済みのコンセプトであり多くの実績があります。蒸気爆砕分野は新しい技術ですが、私たちはその経験や納入実績をベースとして他の応用に向かっています。私たちには商業用規模のシステムでの歴史があり、2つのパイロットシステムで立証済みの膨大な情報量を持っています。ブラックペレットプラントへの投資にご興味あるお客様にはバルメットの立証済みの技術を信頼していただけます。」

蒸気爆砕プロセスは、低品質、低価格の原料を高品質製品にグレードアップする機会を作りだしてくれる。

「ブラックペレットはホワイトペレットよりもより多くのエネルギーを含有し保持しています。それらは磨り潰され、石炭のように燃えます。」と話すセールスマネージャ Mattias Erixon